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建築の行事

2014年2月28日

建築の行事

昔から日本では家を建てる時に様々な祭事が行われていました。
中でも代表的なものが「地鎮祭(じちんさい)」と「上棟式(じょうとうしき)」です。

□地鎮祭の紀元
 紀元は藤原京造営の時だろうと言われています。
日本で最初の都造営の時にすでに「鎮め祭らしむ儀式が行われた」
と日本書紀に書かれています。1300年以上前の事ですね。

□地鎮祭とは
地鎮祭とはその名の通り土地の神様を鎮めこれから家を建てる事の了解を得る祭り事です。
神式と仏式がありますが、一般的には神式で行われます。
安全祈願祭、地祭りなどとも言います。
神道では「とこしずめのまつり」「とこしずめの議」と言います。
 建物を建てる土地の中央部の四隅に青竹を立てて祭場をつくり、
その中央に神籬(ひもろぎ)を南または東向きに奉り、
神職のもとで建て主と設計者、建設業者とともに祈願します。
大きな建築を建てる場合には進行役がつきますが
一戸建て住宅などの場合には神主が一人で執り行います。
別表のような進行で30分程かかります。

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□地鎮祭の費用
 神主さんにお渡しするお礼のようなものですが「初穂料(はつほりょう)」と言います。
熨斗に初穂料と書いて中にお金を入れて神事終了後にお渡しします。
最近では事前に神主さんから料金を言ってきます。
一戸建て住宅の場合3~5万円が一般的です。
その他にお供え物(海のもの、山の物)を用意します。
工務店によっては5千円程度で一式を用意してくれる場合もあります。
自分で用意する場合には果物・野菜・乾物(昆布や海苔など(本来は尾頭付き))
を三方に3個分程度用意します。 御神酒としてお酒も用意します。
奉献酒(ほうけんしゅ)と言います。
酒屋さんにお願いすれば「奉献酒」と書いた熨斗を付けてくれます。

□地鎮祭の服装
 平服でかまいませんが清潔感のある服装が良いです。
屋外に30分以上立ったままの状態となります (椅子がある場合もある)。
夏、冬、雨の日、天候には十分に気を配った服装の準備をおすすめします。

□上棟式とは
 昔は「たてまえ」などと言って、その地域ごとに独特な習慣があったようです。
建て主が屋根の上から餅を撒いたり、地域によってはお金を撒いたりする習慣もあったようです。
本来は基礎をつくり、柱と梁が組み上がり、
屋根が出来上がった段階で神様へのお礼とこれからの工事の安全を祈願する祭りですが、
昨今では上棟式を行う現場はめっきり少なくなりました。
これは家づくりのシステムによるところが大きいと思われます。
かつては工事の最初から最後まで同じ大工の棟梁が数人の弟子と鳶(とび)
の力を借りながらつくっていたのですが、 今では柱や梁を加工し組み建てるのは専ら
プレカット業者の仕事です。もちろん大工もいますが5?6人の棟上げ専門の職人は
プレカット業者が派遣した人たちで、一日だけやって来て明日からは来ないのです。
ちょっとがっかりですよね。 そんな家づくりの合理化されたシステムが上棟式を行う
事を少なくした原因なのだろうと思います。それでも時折、 上棟式を行う事があります。
建物の四隅に酒、米、塩を撒き清めます。神主さんにお願いをする事は本当に無くなりました。
お清めの後は10名程の職人さんと今組み上がったばかりの屋根の下で酒を酌み交わします。
我が家がどんな人たちの手でつくられてゆくのか、
職人からすれば自分たちがつくった家にはどんな人が住むのか、
そんな当たり前な事を知るために上棟式を行うと考えても良いのかもしれません。

□上棟式の費用
 神主さんにはお願いせずに建て主と工務店や設計者とで行う事が一般的です。
10名強の職人さん達にご祝儀を用意すると5千円×10名=5万円、
その他お酒や食べ物を用意するだけでも費用は掛かります。
宴席を設けない場合にはお持ち帰り用のお祝いのお酒を用意する事もあります。

著:佐々木善樹